HOME- > 病気と暮らし
- > あの著者は現在~「あとがき」の続き~
- > 『元気の花束~Living with an ostomy~』(ブーケ(若い女性オストメイトの会)2008/03)
『元気の花束~Living with an ostomy~』(ブーケ(若い女性オストメイトの会)2008/03)
工藤 裕美子さん(直腸がん)
『元気の花束~Living with an ostomy~』は“闘病記”とは少し趣きが違うかも知れません。それはこの本が、患者会「ブーケ(若い女性オストメイトの会)」の発足から9年の間に発行してきた会報26冊から、Q&Aや体験談をまとめた本だからです。
オストメイトとは、がんや炎症性腸疾患、その他の病気などでストーマ(人工肛門・人工膀胱)を造設した人のことをいいます。私は20年前、23才のとき、直腸がんのため、オストメイトになりました。術後しばらくしてオストメイトの患者会に入会し、ストーマを持っているのが自分一人じゃないことがわかり、いろいろなことを教えてもらい、何かにつけ泣いてばかりいた日々から抜け出すことができました。でもふと気付くと、会員の皆さんは両親より年上の方ばかり。当事、20代だった私の悩みや問題を相談する機会はほとんどありませんでした。ストーマケアに関することは共通していても、精神面での悩みは年代で違っていたのです。
その後、時間はかかりましたが、同年代の女性のオストメイトたちと出会うことができました。「若い年代のオストメイトにとって切実な『恋愛・結婚・妊娠・出産・日常生活』を中心とする悩みや問題を相談することがなかなかできない。知りたい情報をなかなか得られないし、身内や親友でも私達の体のことを本当の意味で理解してもらうことはとても難しい」と彼女たちも感じていました。そして発起人5人で1999年に若い年代の女性オストメイトの悩みを相談し合える場として、「ブーケ」を発足し現在に至ります。
活動の中心に年3回の会報発行があります。その会報をつくり続けているうち、「みんなの思いがいっぱい詰まったこの会報をいつか一冊の本にまとめたい」と思うようになりました。さらに、同じ境遇の人の体験や経験を知ること、また同じ悩みや問題を持っている人がいるということを知ることは、前に進む元気が得られるものだと確信するようになったのです。
“一人じゃないって思えるだけで元気になれる”。会員とはいえ、いつでも会えるわけではありません。でも、みんなの思いがいっぱい詰まった保存版の一冊の本があれば、ふと淋しくなったとき、つらくなったとき、いつでも手に取り、ページを開くだけで元気になれるのでは、という思いでこの本をつくりました。
「元気の花束」は、横谷順子さんのまんが「ママはオストメイト」と、これまで会報に掲載したQ&Aと体験談で構成されています。制作で一番苦労したのは編集でした。今回は助成金での限定冊作成で、予算も限られていたため、自分たちで編集を行う必要がありました。本の編集はまったく初めてで、会報編集とは違い本当に大変でした。ETナース(皮膚・排泄ケア認定看護師)でブーケスタッフでもあるAさんと2人で「あーでもないこーでもない」と悩み、何度もやり直し、「今度つくるときは絶対出版社から出してもらおう!! 」などと言いながら、約半年間がんばりました。編集に関してまったくの素人の私たちがレイアウトから校正まで、印刷会社のIさんのアドバイスがあったとはいえ、いま思えば、本当によくがんばったものだと思います。なんとか形になり、ゲラ刷りができてきたときには、とても感動しました。そして3月の終わりにいよいよ完成。ピンクの表紙カバーのついたきれいな本が1000冊できあがりました。
本を読まれたみなさんからたくさんのうれしいメッセージが届いています。ブーケから生まれた『元気の花束』がオストメイトやその周りの人たち、医療者の方々など、たくさんの方を“元気”にしてくれることを願っています。病気になったことはつらいし、ストーマというしょうがいを持ってしまったことは少し不便ですが、なってしまったものは仕方ありません。せっかくの人生ですから、明るく楽しく生きていくべきなのではと思います。『元気の花束』がオストメイトとなられたみなさんの元気の素となれれば、こんなにうれしいことはありません。そして、これからも会員一人ひとりの悩みや問題を少しでも解消し、それぞれが楽しい人生を過ごしていけるよう活動をしていきたいと思います。

















