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『老いてはガンに従え』(ブイツーソリューション 2008/01)
佐藤 昂さん(悪性リンパ腫)
55歳で悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫)と診断され、何度も再発を繰り返しながらも闘病10年を迎え、その節目に闘病記『老いてはガンに従え』を書きました。
自分がガンになって初めて気が付いたことがあります。それは私のように完治が難しいガンを患い、再発を繰り返しても、充実した人生を送れるということです。もちろんガンになったことで自分の生き方や考えは変わりました。それまでの人生の延長線を生きることと、ガンになって新しい道を歩むことのどちらが幸せかは誰にもわかりません。ただ私にとって、ガンと共に生きてきたこの10年間は、大変意味のある時間であったことは間違いありません。
ガンを通して、家族や友人たちに対してでさえ、正確に心境を伝えるのは難しいものだということを再認識しました。周りの人たちは、なるべく病気のことに触れないよう気をつかってくれています。見た目には普通の生活をしているので、「もうすっかり治ったのですね? 」と尋ねられたる度に答えに窮したものです。仕事柄、ビジネスに関する書籍を出したり、雑誌の原稿などはこれまで数多く執筆してきましたが、私的なことを活字にするのは初めてのことなので正直、戸惑いもありました。告知から数年間は、闘病の局面でどうしてもエモーショナルになりがちなので、10年生き延びることができたらこの体験を本にまとめようと考えていました。
本にする際には、読む人のことを第一に考え、一気に読了できる長さにと、文章を削りに削りました。また、病気の話なので読者の気が滅入らないよう、各章のとびらにヨーロッパを旅したとき、目にした風景のスケッチ画を挿入しました。ガンになってからの新たな生き方の一つは水彩画を始めたことです。素人の手なぐさみですが、スケッチの中にガンと共に生きる自分の心を表現できればと思いました。
出版した後、ガン患者の方々から共感のメッセージをいただいたこと、また医師やジャーナリストの方々から評価していただいたことにとても感謝しております。そして何よりも有難かったのは、ガンとは無縁の多くの人たちからの、「ガンに対する考えが変わった」という温かい言葉でした。


















