病院選択~小児がん~

【掲載日】2009年10月30日

西田 知佳子さん
聖路加国際病院 ソーシャルワーカー

悩んだときはソーシャルワーカーに相談を

子どもが「がん」と診断されたときに、どこの病院で治療を受けるかは重要なことです。恐らく小児がんと診断された時点で、その医師から病院の紹介があると思います。小児がんといってもその発見されたときの病気の状態や子どもの年齢、そのがんがどこにできているかなどで化学療法だけでよい場合や手術が必要となる場合、移植が必要など治療の方法もさまざまです。診断した医師は多くの場合、大学病院など専門病院をアドバイスするでしょう。乳幼児であれば、‘付き添いが必要か? ’‘24時間完全看護か? ’など各施設さまざまです。連日のことなのでその病院までのアクセスも重要です。がんの拠点病院が地域ごとにありますからその病院の相談員にどこの病院で治療を受けるのが適切か相談することもできます。もちろんがんの子供を守る会に相談していただいても構いません。

相談の結果、診断した医師が勧める病院と同じ病院がよいと決心がついたら一日も早く紹介状など用意してもらいその病院を受診してください。しかし、医師の勧める病院でない病院を選びたいときには、どのようにしたらよいか、その病院のソーシャルワーカーに相談しましょう。もしソーシャルワーカーがいなければ、がんの子供を守る会に相談してみましょう。できるだけ自宅近くのその病院の医師との関係を壊さずに自分たちの希望を叶えられるように物事を進めてください。

病院を選ぶときの例を示します。たとえば鹿児島に住んでいる人のお子さんが脳腫瘍と言われたとします。ネットではその第一人者は北海道にいると記されています。最初に診断した医師は、「鹿児島内の大きな病院で治療をしましょう」と言います。ネットから最新情報を得た親は、北海道の医師のことを主治医に話したいが、そんなことを言って主治医の気を悪くしないだろうかと悩みます。ソーシャルワーカーに相談すると、ソーシャルワーカーは親の強い思いを受け止めます。同時に家族の構成や経済状況を尋ねます。親がその子どもに付きっ切りになったときに他の子どもを世話する人はいるのか。経済的に二重生活は可能かなど、実際に治療が始まった後のことを両親とともに検討します。その結果、何とかなりそうとなったら、第一人者のセカンドオピニオンを聞きにいけるように手続きをサポートします。ソーシャルワーカーと話すうちに、現実的には遠くの病院では無理とわかったときには、親ができる範囲で最善の方法を検討します。

さまざまな専門家の連携を必要とする小児がん

小児がんの治療には、小児の血液内科医が当たりますが、それ以外にもさまざまな専門分野の医師が治療に関ります。例えば、脳腫瘍の場合には脳神経外科医、神経芽腫の場合には、小児外科医などです。大人の治療が内科、外科と分かれているように小児科も、手術を専門とする小児外科医がいます。全国に700人弱と数は少ないのですが、小児の手術では欠かせない存在です。骨肉腫では専門の整形外科医が手術をします。

小児がんといってもこのように多くの医師が関わって治療を行います。一箇所の病院で全てができる場合と複数の病院で治療しなければならないこともあります。手術は少し遠くても小児外科医のいるA病院で行い、その後の化学療法あるいは放射線療法は家に近いB病院で行い、A・B病院の医師が連携を取りながら治療にあたることも少なくありません。

病気以外でも、大人と子どもの狭間にいて難しい高校生、大学生の発症は精神的サポートももちろん困難ですが、治療に関しても注意が必要です。普通、小児科というところは15歳までしか診察をしません。高校生以上は内科を受診するように言われます。しかし大人と子どもではがんの種類が違いますので、20歳前後の発症でも小児科で治療を行ったほうがよいこともあります。20歳少し超えるまで身体は子どもの体だからです。大人と小児の治療の一番大きな違いは、小児科では将来起こるかもしれない副作用をできるだけ小さくすることと治すことを同時に考えていること、大人の治療は治すことに重点をおいているといえるかもしれません。

このように、さまざまなことがありますが、インターネットだけではわかりませんので、どうぞひとりで思い悩まずにわからないことは専門家に相談してください。小児がんの治療は日進月歩で進んでいます。選択した後も周囲から落ち込むような情報が入ってくることもあると思います。でも、選択をしたらそれが最善の方法と信じ、医療関係者やご家族が心を合わせてお子さんの治療に専念してください。そしてファミリーハウスや患者会など、さまざまなサポートをできる限り活用してください。

パレットメモ

小児がんで最も多いのは白血病で全体の3割を占めます。 小児の白血病の治療に関しては、日本小児白血病リンパ腫研究グループがあり、下記のホームページから施設一覧が見られますので、参考にしてみてください。
http://www.jplsg.jp/2GAIYOU/fr_gaiyou.htm

上記リンクのページ左にある「施設一覧」をクリックすると加盟病院のリストをPDFで見ることができます。

西田 知佳子 さん

西田 知佳子(にしだ・ちかこ)

聖路加国際病院 ソーシャルワーカー

  • 1947年生まれ
  • 1970年 立教大学卒業
  • 1978年 東京大学医学系保健学科博士過程修了
  • 1986年 聖路加国際病院医療社会事業部入職 現在に至る。

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