【患者会・網膜芽細胞腫】網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族の会 すくすく

もしわが子が、がんになったら———? 幼いがん患者となった子どもを持つお母さんたちの不安を受け止め、子どもたちの成長をともに支え合う、日本でたった一つの網膜芽細胞腫の患者会「すくすく」。代表である池田小霧さんにお話を伺った。

網膜芽細胞腫の子どもをもつ家族のための患者会「すくすく」、誕生!

池田さん 網膜芽細胞腫という病気をご存知だろうか? 小児に発症する目のがんで、15,000人の出生児に1人の割合、日本では毎年約80名が発症するとされる。網膜芽細胞腫と診断された子どもたちのほとんどは国立がんセンター中央病院(以下、国立がんセンター)に集まってくる。ここでしか受けられない治療もあるためだ。ほかの小児がんと大きく異なるのは、入院するのは小児科だが、診療を行うのは眼科である点。また、眼球摘出という問題があり隠すことは困難なことから、患者である子ども本人への告知が必要不可欠となるのもほかの小児がんと異なる。かつては、国立がんセンター内にある院内患者会に参加する場合には、小児科の会に参加していたが、診療科の面でも悩みの面でも独立した会を持つことをすすめられた。

そうして1994年、網膜芽細胞腫の患者会、「すくすく」が誕生した。現在、会員は約300名。設立当初は国立がんセンターを通じて入会する方が多かったが、近年はホームページからの入会がほとんど。いまもネットを通じた入会者が着実に増えている。会の活動に協力したいという大人になった患児の入会も少なくない。最近では、中学3年生になった患児自身からの入会もあった。

病気の子どもを抱えて惑う母親に、安心できる場と情報を。

池田さん

会の主な活動は、年1回、7月に行う勉強会と、月1回の定例会、そして会報誌を年4回発行する。さらに、会員専用のメーリングリストがあり、定例会や勉強会の報告、会員同士の悩み相談、情報交換などを行う。圧倒的に情報量の少ない網膜芽細胞腫という病気の子どもを持つ親にとって「すくすく」は大事な情報を得る場でもある。

勉強会では、病気の段階ごとに異なってくる悩みに幅広く対応できるよう、治療から、義眼、2次がん、学校生活の悩み、遺伝のことにいたるまで、毎年異なるテーマを選ぶ工夫をしている。勉強会には全国から会員が集まってくるため、懇親会も同時に行う。会員の約1/3である100名以上が参加するというから驚きだ。それだけ周囲に同じ悩みを共有できる存在がおらず、孤立した思いを抱えていることの表れだろう。ちなみに、いままでは専門の先生を呼んでの講演会形式が主だったが、今年はパネリストとして自身も患児であり、患児の親でもある人を呼んでのシンポジウムを開催予定。患児としての体験、そして、網膜芽細胞腫の子どもを持つ親として(両眼性の場合、網膜芽細胞腫は5割の確率で子どもに遺伝するため)の体験について語ってもらうつもりだ。

勉強会と同時に、一昨年からは、患児ときょうだいのための‘中学生以上の会’も開始した。思春期になり親にもなかなか相談をしなくなる年頃の子どもたちに、病気のことなどを気楽に話せる仲間との出会いの場を提供したいと始めたが、「病気のことはそっちのけで学校の話や最近流行っていることのお話に興じている」と小霧さんは苦笑する。だが、子どもたちに、いざというときいつでも病気のことを話せる存在がいてくれることは、親にとっても嬉しい。すぐにメルアドの交換などをして、仲良くなっている子どもたちの姿に思わず顔がほころぶ。参加者の中には、自分の弟が網膜芽細胞腫となったことから、病気の子どもたちを救いたいと薬学部へ進んだ子もいる。子どもたちの成長がまぶしい。

国立がんセンターで月1回行う定例会には、ソーシャルワーカーも参加する。ときには義眼の先生が参加し、直接悩みに答えてくれるのが心強い。院内患者会ならではの強みといえるだろう。網膜芽細胞腫の子どもを持つ親にとって、定例会は直接対面で悩みを相談したり、情報を交換したりできる数少ない救いの場であり憩いの場だ。胸に一人溜め込んだ思いを受け止めてくれる仲間がそこにはいる。

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