第18回 インフォームド・チョイス

先日、脳ドックを受けた知人から「脳(のう)動脈(どうみゃく)瘤(りゅう)脳に動脈瘤が見つかったのだが治療すべきかどうか」という相談を受けました。
脳動脈瘤というのは、脳の血管にできる「こぶ」で、それができただけでは何の症状もないのですが、ある日突然破裂して「くも膜下出血」を引き起こすリスクがあります。でもその確率は六十歳で5%弱と、さほど高くはありません。

「予防的治療」として手術の選択肢もありますが、術後に言語障害などの後遺症が生じる可能性は10%を超え、死亡率も4%あります。
しかも、がんのように放置すると手遅れとなる病気とは異なり、脳動脈瘤は放置しても破裂せずに一生を過ごせる人の方が圧倒的に多いのです。
こうしたデータを挙げられると危険を冒してまで手術すべきなのか、医師でも判断に迷うことが多いそうです。

「インフォームド・チョイス(十分な説明を受けた上での選択)」の時代となり、患者の自己決定が重視されるようになったことは喜ぶべきです。
が、反面、選択するという責任の重さを患者自身が背負わざえるを得ない厳しい時代を迎えたともいえましょう。

※中日新聞に掲載したものを転載いたしました。


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