急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病の治療

治療法は、年齢や病型分類によって異なります。一般的には、初期に行う寛解導入療法(かんかいどうにゅうりょうほう)として、抗がん剤をいくつか併用した治療を行います。しかし、急性前骨髄球性白血病(M3)は特殊で、最初は抗がん剤を使わず「レチノイン酸」という内服薬を用いることで、高い寛解率と生存率を得ています。再発例以外では、造血幹細胞移植も行いません。一方、M0、M1、M4~M7では、抗がん剤の治療だけでは再発する可能性が高いものや骨髄異形成症候群から白血病に移行したもの、異形成を伴うものに対しては、年齢や全身状態が許せば造血幹細胞移植が必要になることがあります。造血幹細胞移植は、抗がん剤の効かない難治例や再発例にも、ある程度治癒が期待できる治療法です。

治療

「寛解」とは見かけ上、白血病細胞(がん細胞)が見つからない状態を指しますが、さらに詳しくは以下に分けられます。

血液学的完全寛解
治療により、顕微鏡検査をしても白血病細胞が目で見た限りはなくなり、同時に白血球、赤血球、血小板の数が正常な範囲内にある状態です。全身には、まだ白血病細胞がたくさん残っている可能性があります。
分子学的完全寛解
白血病細胞が持つ染色体異常(遺伝子変異)を目安にして、より精密に検査しても白血病細胞が見つからない状態です。上記よりは少ないものの、この状態でもなお、体内には100万個までの白血病細胞が生き残っている可能性があります。

血液や骨髄液以外にも白血病細胞は潜んでいますし、現在用いられている検査にも限界があるため、白血病細胞が見つからないからといって、ただちに「治癒した」といえるわけではありません。

一般的には、完全寛解の状態が5年以上維持された場合には治癒したと考えられますが、5年以上を経過してもまれに再発することがあります。

抗がん剤治療

1)寛解導入療法

抗がん剤により、完全寛解を目指して白血病細胞をできるだけ減らす治療です。急性骨髄性白血病では、ダウノルビシンとシタラビンを組み合わせた治療が、標準的な治療法とされます。

2)分化誘導療法

急性前骨髄球性白血病(M3)では、ビタミンAの誘導体であるレチノイン酸を寛解導入療法として用います。他の抗がん剤が白血病細胞を直接破壊するのに対し、レチノイン酸は白血病細胞を成熟させることによって、正常な白血球と同様な経過をたどって死滅させます。白血病細胞が多い場合は、抗がん剤治療を先に行ったり、あるいは同時に併用したりします。

3)寛解後療法

完全寛解になっても、体内には白血病細胞が多く残っている可能性が高く、放置すると再発することがあります。さらに、白血病細胞を減らして寛解を確固たるものにするための「地固め療法」や、再発しないように寛解を維持するための「維持・強化療法」を行います。

造血幹細胞移植療法は、最も強力な地固め療法です。抗がん剤を用いた急性骨髄性白血病の寛解後療法としては、シタラビンを大量に投与する治療法が有用とされています。

4)抗がん剤治療の合併症と対策

急性骨髄性白血病では、白血病細胞が殖えている一方で、正常な血液細胞は圧迫されて減少しています。白血病細胞を減らす目的で抗がん剤治療を行いますが、減少した正常な血液細胞もダメージを受けて、一時的にはさらに減少します。病気の原因となるさまざまな菌(細菌やカビなどの真菌)やウイルスなどの病原体と戦う白血球が減ると、肺炎や敗血症などの感染症を起こすことがあります。状況によっては、個室に入りアイソレーター(空気清浄機)を用いたり、うがいや手洗いも必要となります。感染症に対しては、抗生物質などを用います。また、白血球の回復を早めるためには、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などサイトカインと呼ばれる薬を使用します。貧血や血小板減少に対しては、成分輸血を行います。また、抗がん剤による悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、下痢、口内炎、脱毛、発熱等の副作用がありますが、おのおのに対して可能な限り副作用を軽減させ、対策を立てて治療を行います。

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター

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