慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫の治療

慢性リンパ性白血病・小細胞性リンパ腫の治療

慢性リンパ性白血病は最終的には完治の困難な疾患ですが、治療をしなくても、日常生活に特に支障が出ないまま一生を過ごす方もいます。治療は主に症状の改善、生存期間の延長を目的に行われます。病期分類で、Rai分類の低危険度群と中間危険度群、およびBinet分類の病期Aでは経過が長いために、原則として治療は必要ないとされています。これらの病期で治療を開始した患者さんと、病状が進行してから治療を開始した患者さんとの間で、生存期間に差がなかったと報告されていることがその理由です。

いつから治療を開始するかについては、米国国立がん研究所のグループのガイドラインがあります。表2にそのガイドラインを示します。各項目のいずれかが認められれば、治療を開始するべきであるといわれています。

慢性リンパ性白血病の治療開始のガイドライン

  • (1) 疾患に関連した症状のうち以下の少なくとも1つが認められること
    • (a)過去6ヶ月間で10%以上の体重減少
    • (b)重篤な倦怠感(仕事不可能、通常の日常生活に支障)
    • (c)2週間以上続く38度以上の発熱
    • (d)感染症を伴わない寝汗
  • (2) 骨髄抑制の進行:貧血、血小板減少の出現、進行
  • (3) ステロイドホルモン治療に抵抗性の自己免疫性溶血性貧血・血小板減少
  • (4) 左季肋下6cm以上の脾腫あるいは進行性の脾腫
  • (5) 直径10cm以上のリンパ節腫脹あるいは進行性のリンパ節腫脹
  • (6) 2ヶ月で50%以上のリンパ球増加あるいは6ヶ月以内の2倍以上のリンパ球
  • (7) 著しいガンマグロブリン値の低下あるいはM蛋白の出現
 Cheson BD, et al: Blood 1996: 87; 4990-4997

しかし最近の研究結果では、以下の検査結果が得られた場合は生存期間が短くなると報告されているため、特にガイドラインの条件を満たさなくても、速やかに治療を開始することを考慮します。

  • 1.染色体11番や17番の異常
  • 2.免疫グロブリン遺伝子の可変部に変異がない
  • 3.白血病細胞質内のZAP-70の発現
  • 4.リンパ球の倍加時間が12ヵ月未満
  • 5.血清β2ミクログロブリン値の上昇
  • 6.血清可溶性CD23の上昇
  • 7.血清チミジンキナーゼ値の上昇
  • 8.白血病細胞表面のCD38の発現

等があげられています。

わが国では慢性リンパ性白血病の治療には、抗がん剤の中のアルキル化剤の1種である、シクロホスファミドの経口薬での治療が行われています。これにドキソルビシンやビンクリスチン等の抗がん剤を併用して、強力な化学療法が行われることもあります。自己免疫性の溶血性貧血、血小板減少を合併した場合は、ステロイドホルモンを投与します。リンパ節腫脹や脾腫に対して、放射線療法が行われることもあります。

最近ではフルダラビンの有効性が報告され、第一選択の治療薬として用いられつつあります。フルダラビンは体内で遺伝子を合成するのに必要な、核酸という物質の一部で、核酸合成を阻害する作用を持ち、プリン体によく似た分子構造をしています。フルダラビン単独の治療で、80%の方に効果があるといわれています。わが国でも貧血、または血小板減少を伴う、慢性リンパ性白血病の治療での使用が保険で認められています。

分子標的薬の抗体療法も注目されています。B細胞性リンパ球の95%以上に発現しているCD52に対する、ヒト化モノクローナル抗体であるアレムツズマブ(キャンパス-1H)が、治療抵抗性の慢性リンパ性白血病に有効です。同じように、B細胞性のリンパ球に発現しているCD20に対する、ヒト化モノクローナル抗体のリツキシマブ(リツキサン)が有効であることも報告され、フルダラビンやシクロホスファミドとの併用での効果が期待されています。

わが国では、慢性リンパ性白血病に対する造血幹細胞移植の報告はほとんどありません。しかし欧米では、若年者の治療抵抗性の慢性リンパ性白血病に対して自家造血幹細胞移植を併用した大量化学療法が試みられ、通常の治療よりも生存期間を延長できることが示されています。

しかし、多くの患者さんが再発し、移植後に骨髄異形性症候群を発症する方がいることも報告されています。
現在、同種造血幹細胞移植は完治を期待できる唯一の治療法であると考えられていますが、移植の副作用に伴う死亡が40~50%と高いため、まだ、標準的な治療法とはいえません。この移植関連死亡を減らす目的で移植前処置を軽くしたミニ移植も行われていますが、再発がやや多く、通常の同種移植より生存率が上回るかどうか、まだ不明です。今後の結果が期待されます。

出典:国立がん研究センターがん対策情報センター

慢性リンパ性白血病の病気体験記

ヘアリーセルだった、あら40
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