慢性骨髄性白血病の病期と治療

慢性骨髄性白血病の病期

慢性骨髄性白血病はゆっくり進行する疾患ですが、その進行の程度により3つの病期に分けられます。

1)慢性期(Chronic Phase:CP)

白血球数は増加していますが、ほぼ正常に分化するため、芽球と呼ばれる未熟な白血球の割合は増加していません。無治療のままでは急性転化期に移行していきます。

2)移行期(Accelerated Phase:AP)

慢性期と急性転化期の間の病期です。Ph染色体(BCR-ABL融合遺伝子)に染色体・遺伝子異常が付加されると白血病細胞(がん細胞)の増殖能が高まり、分化能は失われ、骨髄や末梢血中における芽球の割合が増加します。その結果、治療による白血球数のコントロールが困難になり、脾臓の腫大が進行します。

また、貧血、出血傾向、発熱が現れることもあります。また、明らかな移行期を経ないで急性転化期に移行する場合もあります。

3)急性転化期(Blast Crisis:BC)

骨髄、末梢血中の芽球が30%以上に増加します。芽球期、急性期とも呼ばれます。慢性期と同じような化学療法(抗がん剤治療)では白血球数のコントロールは困難で、白血病細胞が骨髄以外の場所、例えば骨やリンパ節に腫瘤(しゅりゅう)を形成することもあります。

通常、慢性期にはみられませんが、移行期や急性転化期には、脳や脊髄のまわりにある脳脊髄液や髄膜にも、白血病細胞が浸潤(しんじゅん:周囲に広がること)することがあります。

慢性骨髄性白血病の治療①

重要な治療方針の決定に際しては、他の施設の医師にも意見を聞いてみることが大切です。他の施設の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことは、納得のいく治療を受けるために必要なことです。

慢性骨髄性白血病の治療法は病期に基づいて計画されますが、「グリベック」という薬により、治療選択が大きく変化しました。この薬は、最近では高い臨床効果だけでなく、長期にわたる有効性と安全性が示されています(IRIS試験)。予後予測には、診断時治療前の検査成績に基づく「Sokalスコアー」と「Hasfordスコアー」が用いられています。

1)慢性期

成人では、イマチニブ(商品名:グリベック)(400mg/日)が第一選択薬です。

(1)グリベック

慢性骨髄性白血病の場合、Ph染色体は造血幹細胞で形成されます。9番染色体のABL遺伝子と22番染色体のBCR遺伝子が融合し、正常時には存在しないBcr-Abl融合蛋白(たんぱく)を産生します。グリベックはAbl蛋白に結合し、Bcr-Abl融合蛋白の機能を阻止することで抗白血病作用を発揮します。1日1回の内服薬で、主な副作用は投与初期の血球減少です。グリベックにより白血病細胞が減少しますが、これは正常細胞の回復が間に合わないために起こります。

他に、筋肉の痙攣(けいれん)やまぶたのむくみ(浮腫(ふしゅ))があります。この薬剤を中止すると、Ph(BCR-ABL)陽性細胞がPCR法やTMA法(Amp-CML)と呼ばれる、より感度の高い検査方法により遺伝子レベルで検出されることが多く、完全に内服を中止することは困難です。病気がグリベックに耐性を持って薬が効かないと考えられる場合は、同種造血幹細胞移植が適応となります。

(2)インターフェロンα療法

インターフェロンαはもともと生体内に存在する物質で、さまざまな刺激によって分泌されます。毎日皮下注射することにより、白血病細胞が消失する場合があります。グリベックに耐性を持って薬が効かなくなり、何らかの理由で同種造血幹細胞移植も行えない場合に適応となります。インターフェロン単独より、Ara- Cとの併用により細胞遺伝学的寛解率が向上します。

しかし、6ヵ月たっても通常の血液検査で反応がみられない場合や、1年たってもPh染色体を持った細胞が減少しない場合には、あまり有効性が期待できません。インターフェロンを造血幹細胞移植直前まで使用していると、移植の成績が悪くなる可能性があるという報告もあります。

医師や看護師の指導のもとに、本人や家族による家庭での自己注射が認められています。副作用として、感冒様症状(発熱、悪寒(おかん)、筋肉痛、全身倦怠感、食欲不振等)がよくみられますが、就寝前に注射したり、消炎鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を事前に服用することなどにより副作用の症状を軽減でき、だんだん慣れてこれらの症状が現れにくくなります。まれに、肺線維症や抑うつ状態になることがあります。この場合には中止しなければいけません。周囲の方も注意する必要があります。

(3)化学療法(ハイドレアなど)

血液細胞の数を正常範囲に維持したり、腫大した脾臓を小さくする目的で、主に「ヒドロキシカルバミド(別名:ハイドロキシウレア、商品名:ハイドレア)」という抗がん剤を継続して内服します。これにより90%以上の患者さんで白血球数などが正常になりますが、多くは数年のうちに急性転化期に移行します。副作用には、難治性の皮膚潰瘍(ひふかいよう)があります。



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