第10回 患者満足
時々「患者満足とサービス」というテーマで、医療者対象に講演をする機会があります。 あるとき、話を聞き終えた看護師さんがこんな話を聞かせてくれました。
「喫煙が原因で肺がんを患っている余命幾ばくもない患者さんに、死ぬ前に一本だけタバコが吸いたいと懇願されることがある。病院は全館禁煙なので喫煙は許されないが、亡くなる前の方に病院のルールを一方的に押し付けているようで忍びない」
病院は地域社会に対して、健康増進を促す指導的立場に立つ役割があるため、多くは全館禁煙、敷地内禁煙に取り組んでいます。 また、病院は数多くの入院患者の安全を守るという管理責任を負っているため、安全面からも火災の原因となりうるタバコを容認することは難しくなっています。
でも、飛行機内での喫煙のように法律で禁止されているわけではなく、喫煙自体も法律的には個人の嗜好として認められているのだから、死ぬ前にどうしても吸いたいという人の願いを、「ここは病院ですから」と却下してしまってもよいのでしょうか。
看護師さんの悩みはここにありました。
個々の患者の希望をできるだけ叶えてあげたいけれど、病院として対応できない事情もあります。
あなたなら、どうやってこの患者さんに満足してもらいます?
※中日新聞に掲載したものを加筆、転載いたしました。
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