はじめに

癌研有明病院 帽子クラブボランティア
恒川 美幸さん

治療中でも、あなたらしく。

乳がんの摘出手術でボディイメージが変わったり、抗がん剤などの治療により髪の毛や眉毛、まつ毛の脱毛が生じたり、治療に伴う見た目の変化は、がん患者さんの心にも大きな負荷をもたらします。

もちろん、これらの変化に対する気持ちのありようは人それぞれ。
「髪の毛が抜けても平気! 」という方もいれば、中には周りからの「たかが脱毛くらい」という心ない言葉に深く傷付いてしまう方もいらっしゃいます。
しかしながら、病気だけでも大変ななか、見た目の変化をも受け入れなくてはならないつらさは自分がその立場にたってみなければわからないことだと思います。

以前出会った、ある女性患者さんとのエピソードをご紹介しましょう。

個室に入院していた患者さんから、メイクをしてほしいという依頼がありました。
病室に入っていったときの彼女は、こちらに背を向け、頭をうなだれてしょんぼり。頭髪は、うぶ毛が少しあるくらいで、ほとんどまばらな状態です。
決して目を合わせようとなさらず、ひどく落ち着かない様子でした。
ゆっくりお話を伺っているうちに、彼女は「恥ずかしくてほとんどこの個室からは出ない」と打ち明けてくれました。
お肌の状態をチェックし、ご本人の希望で、抜けてしまった眉のメイクと、自分でも描けるように眉の描き方を教えると、彼女はできあがった眉を見て、「わぁ~!女優さんみたい!」。目をキラキラ輝かせ、何度も角度を変えて鏡を見つめ続けていらっしゃいました。
そして、しまってあったスカーフを取り出すと、頭にサッと巻きつけ、背筋を伸ばし、いそいそと病室を後にして、患者さんや家族がおしゃべりをするための広いフリースペースに向かって歩き出されました。
そこには、さきほどまでのおどおどした様子はまったくなく、まっすぐに顔を上げ、目を見つめ、ほかの患者さんと談笑する姿がありました。

たしかに見た目が変ったとしても、命に直接の関係はないかもしれません。
ですが、その人らしさを失わないでいられるということは、とても大切なことのように思います。

治療などで生じた見た目の変化と上手に付き合っていくために。

治療中であっても「あなたらしく」いられるために。

ここでご紹介するコツやアイデアがあなたのお役に立ちますよう。

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