第1回 手術件数

先日、知人から「食道がんと診断されたが、手術件数の多い病院で手術するのがよいだろうか」と聞かれ、返答に窮してしまいました。

以前はどの病院で手術を受けても結果は同じだといわれてきましたが、1990年代になると、治療方法や病院によって治療成績が変わるという事実を見聞きするようになりました。手術の際には、情報を集めて「よい病院」を選ぶべきだと考えるのが一般的になってきました。

国も2002年に、手術件数の多さと治療成績には関係があるとして、手術件数が一定の基準に満たない病院の診療報酬を3割減らす措置を取りました。 しかし、今年の春には一転して、手術件数と治療成績との関係はさほど強くないとして、この措置を撤廃してしまいました。
こうなると、手術件数で病院を選ぶのは必ずしも正しくないことになります。

では、何を拠り所によい病院を選べばよいのでしょう。
考えあぐねていたところ、今月初めに日本胸部外科学会が「食道がん・肺がん・心臓病の手術では手術件数が多い病院ほど患者の死亡率が低い」と発表しました。 食道がんの手術では、1年間の平均手術数が75件以上の病院では入院中の死亡率は1.6%ですが、手術数が25件未満、つまり月に2回程度しか手術を行わない病院だと、死亡率は4倍の6.5%にも跳ね上がるのだそうです。
これを聞く限り、今のところはやはり手術件数で病院を選んでもよいといえそうです。

※中日新聞に掲載したものを転載いたしました。


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