がんの専門医

本田 麻由美
読売新聞東京本社社会保障部記者

治療法ごとの専門医から“がんの総合医”まで、がんの専門医はさまざま。

「抗がん剤治療の専門医リストをください。副作用がひどくて……藁にもすがる思いなんです」「乳がんと診断されましたが、専門医の治療を受けたほうがいいのでしょうか」――。

私はがん患者の一人として新聞に医療コラムを連載しているためか、こうしたお便りをよくいただきます。がん医療の高度化が進む中、より専門的な治療を受けたいと専門医への期待が高まっているからでしょう。医療機関側も、どんな専門医資格を持つ医師がいるかといった情報を積極的に提供するようになりました。ただ「専門医」といっても、がんの診断や治療にかかわる資格には下記の表のように20種類ほどもあるため、その違いを患者側も知らないと、そうした情報を正しく活用できなくなってきています。

がん診療にかかわる専門医は、大きく3つのタイプに分けられると思います。

まず一つは、特定のがん治療法に関する専門医です。
たとえば、「放射線腫瘍認定医」はがんの放射線治療、「がん薬物療法専門医」は抗がん剤治療やホルモン療法などの専門医です。共に必要性が高まっているのに人数が少ないのが課題で、前者は全国に500人程度、後者は日本臨床腫瘍学会が2006年に一期生を認定したばかりで205人しかいません。養成を進めたくても、質を保証するには定められた研修などを受け試験に合格する必要があります。
また、治療法ごとの専門医以外にも、がん診療の幅広い知識を持つ専門医も出てきています。日本癌治療学会と日本癌学会、日本臨床腫瘍学会が合同で2006年12月に日本がん治療認定医機構を発足させ「がん治療認定医」の養成・認定を行うことになりました。たとえば、外科医として胃がんの診療に携わる医師も、「手術はしたけど後は知らない」と患者を放り出すことのないよう、化学療法にはどんな選択肢があり、いつ行うべきか、緩和ケアや放射線治療はどう受けるべきかという専門的な知識を持って患者にアドバイスできる、いわば“がんの総合医”を育てようというものです。今年1月、初めての合格者1757人が認定されました。

二つ目は、特定の部位の専門医です。
乳がん診療を担う「乳腺専門医」や血液がんを診る「血液専門医」、「婦人科腫瘍専門医」などがあります。また、「呼吸器外科専門医」や「消化器外科専門医」なども、肺がんや胃・大腸・食道がんなどの診療に携わっている医師も多くいます。

三つ目は基本的な医療分野の専門医です。
がん細胞かどうかを見極めてがんの確定診断を行う「病理専門医」、「麻酔科専門医」などがあります。また、「内科専門医」の資格を持っていないと「がん薬物療法専門医」の受験はできないなど、基礎的な専門医資格もがん診療にかかわっています。

1 2 3 次のページへ
Member_bn_1

ご意見ご感想をお聞かせください ライフパレットは、みんなでつくっていく、患者コミュニティサイトです。ご意見ご感想をフォームにご入力の上送信ボタンを押してください。