医師とのいいコミュニケーションとは?

【掲載日】2009年10月30日
【更新日】2009年10月30日

中澤 まゆみさん(ノンフィクション・ライター)

「医師に都合のいい患者」ではなく、患者として優秀な「いい患者」に

初めて受診するドクターとの初診のときは、ハラハラ・ドキドキもの。 しばらく受診しているうちに印象がちがってくることもあるが、「もっと親身に話を聞いてくれたっていいじゃない」というようなドクターにお目にかかることも、少なくないからだ。

まもなく98歳になる日野原重明先生や、乳がんで亡くなった田原節子さんの本づくりをお手伝いするなかで、「医師と患者の対等な関係」と、「患者の医療への参加」の重要性をずいぶん学ばせていただいた。

日野原先生のような人たちが、世の中を啓蒙し続けてくれたおかげで、長年、上からモノを言ってきた医師の態度も、「へへ~」とそれをありがたく受け止めてきた患者の意識も変わってきた。 「患者の自己決定権の尊重」は、いまや医療や介護の大号令。 だが、 医師と患者の間には、相変わらず深くて暗い河がある。
ところで、ドクターとの関係に悩んでいるのは患者だけだと思ったら、ドクターのほうも「患者とうまく話せない」と悩んでいた。

会員医師を対象にアンケートを行ったのは、日経メディカル・オンライン。 891人の有効回答中、「話すのが苦手」と答えた約半数に理由を聞くと「言いたいことがうまく伝えられない」(237人)、「緊張してしまう」(216人)、「相手の反応が気になる」(147人)といった回答があった。 ふ~む、あのぶっきらぼうな態度の背景はそうだったのか。 「医師の第一歩は、患者さんの話を聞くことです」と前置きしながら、日野原先生が言ったことがある。 「患者の情報の伝え方ひとつで、名医もタダの医者になるし、ごく普通の医師が名医になることもあるんですよ」と。

だから、患者のほうも、「いい患者になる工夫」をしよう。 ポイントは、①ノートと筆記用具を用意する、②質問は要点を3つくらいにまとめ、メモをつくっておく、③メモに沿って簡潔に質問し、話をあちこちに飛ばさない、④やっかいな病気が予測されるときには、冷静に話を聞ける人に同行を頼む、など。 「医師に都合のいい患者」ではなく、患者として優秀な「いい患者」になることが、いいドクターとの出会いに通じる。

パレットメモ

中澤 まゆみ さん

中澤 まゆみ (なかざわ・まゆみ)

ノンフィクション・ライター

1949年長野県松本市生まれ。
編集者としてヤマハ音楽振興会「ライト・ミュージック」、小学館「GORO」などに携わり、かたわら音楽評論を書く。「ライト・ミュージック」で担当したジャズ・ピアニスト山下洋輔氏の連載エッセイは、のちに『ピアニストを撃て』(晶文社)として出版された。その後、フリーランスのライターとなり、人物取材、紀行、エッセイ、ノンフィクションを書く。
著書に『ユリ-日系二世NYハーレムに生きる』(文芸春秋)など。ノンフィクションを書くかたわらライター&編集の仕事も手がけ、編集・構成に携わった単行本として、『遺書 笑うがん闘病記』(田原節子 集英社)、『私が人生の旅で学んだこと』(日野原重明 集英社)、『いのちを語る』(日野原重明、アルフォンス・デーケン、木村利人 集英社)など多数。
近年は医療、介護、福祉に関心を持ち、2008年10月に『おひとりさまの「法律」』(法研)を出版した。 現在は次作を準備中。時事通信社の書評も10年来担当。
世田谷区福祉審議会委員。

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