『前立腺がん』

星野店主のおすすめ闘病記
-蔵書数1万2千冊の闘病記専門古書店「パラメディカ」店主が選ぶ-

『前立腺癌 切らずに治した最新「小線源療法」体験記』

「医学用語索引」がついた闘病記というのも珍しいが、これは元朝日新聞記者自身の体験に基づく啓蒙的がん闘病記。著者は67歳で、病期「B」、PSA「18」、高分化型の前立腺がんと診断される。前立腺がんの治療法には大きく分けて「全摘出術」「ホルモン療法」「放射線療法」があり、放射線療法はさらに「外照射」と「内照射(小線源療法=ブラキセラピー)」、内照射はさらに「一時留置法」と「永久留置法」に分けられる。性機能を失いたくない一心から情報を集めた著者は、国立病院東京医療センターで、患部に放射線物質の容器(シード)を埋め込む「内照射一時留置法」による治療を受ける。03年当時は厚生労働省に認められていなかった永久留置法も、現在では多くの病院で受けられるようになった。

前立腺癌切らずに治した

『前立腺癌 切らずに治した
 最新「小線源療法」体験記』

『前立腺ガンからの生還 ガンもEDも克服した不屈の闘病記』

昭和3年生まれ、元海軍少年兵の著者が70歳で前立腺がん(高分化型腺がん)と診断され、ホルモン療法ののち神経保存全摘除術を受ける。これは平成10年末に診断されてから治療を開始し、平成12年の1月に手術を受け、翌月に退院するまでの記録。がん発見のきっかけはマーカーの異常で、直腸指診、エコー検査、MRI (磁気共鳴影像法)検査、最後に患部の細胞を針で採取し(生検)、がんと診断される。プライベートなことは極力省き、検査の様子、医師とのやり取り、患者としての不安を克明に描写、前立腺全摘手術のシミュレーションのような本になっている。手術後には一時的に尿もれに悩まされ、ED(性機能不全)を覚悟したりするが、問題は起きなかったようだ。

前立腺ガンからの生還―ガンもEDも克服した不屈の闘病記

『前立腺ガンからの生還
ガンもEDも克服した不屈の闘病記』

『アマリリスは咲いても 精神科医その生と死』

精神科医の前立腺がん闘病記というと、西川喜作医師の「輝やけ 我が命の日々よ」が知られているが、この著者も精神科医。53歳のある日、学友たちと歓談した帰り、右下肢に焼けるような痛みを感じる。念のためと骨格の単純レントゲン撮影を依頼し、フィルムを見た著者は愕然とする。骨盤、腰椎、大腿骨、上腕骨にがんが転移していることが見て取れたからだ。これは入院してから1年5ヵ月後に54歳で亡くなるまで、病苦が和らぐからと執筆し続けた本。実は闘病記は全体の三分の一で、残りは精神科医としての患者に対する思いが書かれている。病状が悪化し、自身の死を覚悟しながらも、救えなかった精神病患者やその家族のことを思う医師の姿に心を打たれる。

アマリリスは咲いても―精神科医その生と死

『アマリリスは咲いても 精神科医その生と死』

星野 史雄 店主

星野 史雄 (ほしの・ふみお)

古書店「パラメディカ」店主

1952年、秋田県生まれ。
1976年、早稲田大学中国文学科卒業。1980年、同大学大学院修士課程修了。
慶應義塾大学斯道文庫嘱託などを経て、1984年から1997年まで代々木ゼミナール勤務。妻・光子の乳がんによる死(享年44歳)を転機に同予備校を退職。1998年に患者のためのオンライン古書店パラメディカを開店。病名から検索出来る闘病記リストの作成を続け、現在、闘病記は2,000タイトル、医療関連書も含めると12,000冊を越える書籍が書店に並ぶ。2000年からは東京家政大学非常勤講師として学生や社会人に、生きるための「情報検索」術を教えている。

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