ファミリーハウス

【掲載日】2009年02月13日

NPO法人ファミリーハウス 理事長
江口 八千代さん

ファミリーハウスとはどのようなところ?

ファミリーハウスとは、小児がんなど難病の治療のために自宅から離れた病院で治療を受ける子どもと家族のためにつくられた、安心して、安全・安価に利用できる滞在施設です。
不安を抱えている家族を支えて、家族が子どもの看護に専念できるような環境を提供しています。入院中だけでなく、退院後の通院にも利用していただくことができ、わが家のような温もりを持ったハウスとなるよう努めています。

ファミリーハウスの始まりは、小児がんの治療のために遠隔地から、東京築地にある国立がんセンターに入院する子どもの両親の負担を軽減できないだろうかと考えたことです。
1991年に、がんセンター小児病棟に入院中の子どもの親に入院生活などについてのアンケートを行いました。アンケート結果から、地元の病院で難病と診断、がんセンターで治療を受けることを勧められ、子どもの病気を受け入れることも土地勘もないまま、とりあえず入院した親の精神的・肉体的・経済的負担がいかに大きいかが改めてわかりました。

たとえば、子どもを入院させた後、親自身が今夜どこに泊まったらよいかと考えます。
ホテルに1泊して、朝には重い荷物を持って病院に面会に来て、次のホテルを探して泊まるというように、上京してしばらくの間、ホテルを転々としている親もいました。
この先いつまでこのような生活が続くのかわかりませんし、地元に残してきた子どもの心配、病院での生活に馴染む努力、子どもの病気や治療を自身が受け入れることなど、一人きりの部屋で募る孤独感や、精神的・経済的負担がのしかかっていました。
このような家族を支えるための滞在施設をつくりたいと、家族や医療関係者、ボランティアが力を合わせて活動を続けてきて、現在のファミリーハウスがあります。 2008年11月現在、8施設54部屋を運営しています。

利用したい場合はどのように手続きをすればよい?

ハウスを運営する団体には、ファミリーハウスのようなNPO団体をはじめ、「財団・NPO・任意団体」「企業のCSR・社会貢献活動」「病院」の大きく3種類があります。 これらはいずれも非営利でハウスを運営しています。 手続きは以下に図示しました。

ご利用申込の流れ

ハウスは、各地の運営団体がそれぞれ独立して運営しています。 利用したいハウスや地域が決まったら、各運営団体に直接お問合せください。 ファミリーハウスご利用申込の流れ

ファミリーハウスにできること

実際にファミリーハウスを利用する家族にはどんなニーズがあるのでしょうか。

  • 治療を受ける病院の近くにハウスがある
  • 安価に宿泊できる
  • 清潔で安全である
  • 誰かと話したいときに、話せる人がいて、場所がある
  • 情報がほしいときに、情報を得られる手段がある
  • 患児のきょうだいを一緒に連れてこなければならないときに、きょうだいも遠慮をせずに泊まれる
  • 外泊時を許可されたとき、子どもと一緒に過ごせる場所である
  • 通院するときにも泊まれる など

利用される方は、個別にはさらに異なったニーズを持っています。 さまざまなニーズを持つ利用者の希望に向き合って、個別の対応ができるように努力しています。 利用者に共通なのは、「子どもの病気」という問題を抱えているということです。 ハウスの実際の運営は、事務局スタッフ、ハウスマネジャー、ハウスオーナー、ボランティアなど多くの人が携わっています。 運営に携わる側は、利用者はさまざまな苦痛を抱えた存在であるということを念頭において、日々の生活への配慮・援助を行っています。 つまり、「一人ひとりが例外である」という視点で関わっています。

小児がんのお子さんを持つ親へのメッセージ

私たちはしばしば、親が精神的に安定していると子どもも安定するということを経験的に知っています。
親の気持ちの変化を子どもは敏感に感じます。
子どもが入院中であるならば、なおさら親が安定した気持ちで子どもと向き合うことが大切です。

子どもの発病による入院や在宅での闘病生活では、夫婦、病気の子ども、きょうだいなど、家族員一人ひとりのそれまでの家族関係に、大きな変化をも、迫られるものです。
子どもを支えるには、子どもの病気や病状が家族に大きな影響を与えることと、逆に子どもを支える家族が子どもに大きな影響を及ぼすことを知って、子どもの看護をしていただきたいと思います。

子どもに付き添う家族が笑顔でいてくれることが、闘病中の子どもにとって大きな支えになります。
ファミリーハウスの存在は付き添う家族が笑顔でいてくれることをサポートすることです。ご家族が安心してファミリーハウスを利用し、安定した気持ちで毎日を過ごし、子どもの看病に専念できるよう援助していきたいと思っています。
さらに、ファミリーハウスの存在が、看病のための活力となれば幸いです。

パレットメモ

全国で利用できるハウスの一覧

NPO法人ファミリーハウス調べ:全国滞在施設は2008年11月22日現在で、71カ所です。 北海道7、東北3、北陸・甲信越4、関東(群馬、栃木、茨城、埼玉)9、関東(千葉、東京、神奈川)15、東海9、近畿8、四国2、中国4、九州・沖縄10。 (全国のハウス一覧はファミリーハウスのホームページから検索できます)

江口 八千代 さん

江口 八千代(えぐち・やちよ)

NPO法人ファミリーハウス 理事長

  • 1975年~1984年 国立小児病院(現生育医療センター)看護師として勤務。
  • 1988年~2001年 国立がんセンター小児病棟看護師長として勤務。
  • 2007年4月~ 国立病院機構小諸高原病院総看護師長。
  • 1991年~ NPO法人ファミリーハウス設立・運営に関わっている。
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